思考のよせなべ

清水喜文ブログ

「お金に善悪はない」は、時に暴力的

 

「お金に善悪はない」

そう訴える者がいる。

確かにそうだね、と思いつつも、どこかに違和感を覚えます。

なぜだろう?

 

「お金はただの物質であり、それを使う人間にこそ、善と悪があるんだ」

この意見は正しい。

では、なぜ、それに違和感を持つのでしょう?

 

 

デトロイト

 

アメリカ、ミシガン州南東部にある都市、デトロイト

かつて「黄金都市」と呼ばれたこの都市に暮らす人々の平均年収は、全米のそれの倍近くあったといいます。

ところが、2013年7月18日、同都市は破綻する。

 

この都市は、自動車産業によって栄えていました。

そのために、それに特化した街づくりがなされます。

米国自動車メーカーのビッグ3が、「夢ある自動車の街」を作り上げるために、既存の公共機関を潰そうと試みたのです。

車がなければ、移動ができない環境をつくろうとしたわけです。

そして、それはほぼ実現しました。

 

そんなデトロイトに影が差し始めるのは、1967年のことです。

「Blind Pig」という名で知られていた無免許の酒場に対して、警察が手入れを行ったことにより、暴動が起こります。

ほとんどの警察が白人だったのに対し、店のオーナや客のほとんどが黒人だったことから、人種暴動となりました。

5日間の争いの後、死者43名、負傷者1189名、逮捕者7200名を出して集結します。

これ以降、人種間の対立が酷くなり、結果、裕福な白人が市の中心部から逃げ出します。

都市には、黒人の貧困層だけが残されました。

 

その後、70~80年代になると、コストパフォーマンスに優れる日本車が売れだして、アメリカの自動車産業に打撃を与えます。

さらに、 80~90年代には、自動車工場の多くがメキシコに移転することになりました。

そしてついに、リーマン・ショック後の2009年、GMが経営破綻することに。

 

かつて「黄金都市」と呼ばれるほどに栄えた都市は、荒廃しました。

この都市に取り残された貧困層は、所有する車もなく、かといって公共機関がないために、移動することは出来ません。

かつて彼らに幸福をもたらした車。

そのための街づくりが、彼らを縛りつけるのです。

 

 「車がすべてを駄目にした……」

デトロイトに住む誰かがそう口にした時、それには、この都市の歴史が込められていると思うのです。

万感の思いが、そこには込められているのです。

 

 

 【要は誰が聞くかだ】

 

「お金に善悪はない」は正しい。

そして、おそらくその後に続けられるであろう「引き寄せの法則で、お金を引き寄せよう」も真理なのでしょう。

 

引き寄せの法則で大事なのは、すでに叶ったかのように信じること。

つまり、「金持ちになりたい」では駄目で、「私はすでに金持ちだ」と潜在意識を騙すことです。

それができると、お金に限らず、望んだものが手に入る。

これは、難しい。

ある程度、満たされた人でないと無理なのでは、と思います。

今日生きることで精一杯の者には、不可能な思考です。

先進国の法則なのです。

 

だから思うのです。

「お金に善悪はない」と、それに続く法則は、聞く者によっては「暴力的にもなり得る」と。